科目別の要点
基礎的知識
(機械)の要点
法令に根拠のない、力学と材料の一般知識です。計算の型が決まっているので、型を覚えれば落としにくい科目です。しかも間違え方にも型があります。
1. 覚える式は多くない
| 量 | 求め方 | 単位 |
|---|---|---|
| 応力 | 荷重 ÷ 断面積 | N/mm2 |
| ひずみ | 変形量 ÷ もとの長さ | なし(無次元) |
| 縦弾性係数 | 応力 ÷ ひずみ | N/mm2 |
| 安全率 | 引張強さ ÷ 許容応力 | なし |
| モーメント | 力 × 垂直距離 | N・m |
| 仕事率 | 仕事 ÷ 時間 | W |
| 熱量 | 質量 × 比熱 × 温度差 | kJ |
| 熱膨張 | もとの長さ × 線膨張係数 × 温度差 | mm |
圧力の単位は1MPa=1N/mm2です。材料の強度がN/mm2で示され、 消火器の圧力がMPaで示されるのは、同じ大きさを別の呼び方で書いているだけです。
2. 間違え方に型がある
誤答選択肢は、たいてい割る順序を逆にした値か単位を取り違えた値です。 逆にいえば、これを知っていれば自分の答えを検算できます。
検算のしかた
- 安全率が1を下回ったら割る向きが逆
- 縦弾性係数は軟鋼でおよそ206000 N/mm2。桁が大きく外れたら逆算している
- 円の断面積は直径ではなく半径の2乗に比例。直径をそのまま使うと4倍ずれる
- 熱量は温度そのものではなく温度差を掛ける
- 長さの計算は最初にmmへそろえる。最後に直すと桁を間違える
3. 材料は「両立しない」で覚える
炭素鋼は炭素が増えるほど硬く強くなる代わりに、伸びや絞りが小さくなります。 硬さと粘りは両立しない、という関係で覚えると組合せ問題に強くなります。
| 熱処理 | やること | ねらい |
|---|---|---|
| 焼入れ | 加熱後に急冷 | 硬くする(もろくもなる) |
| 焼戻し | 焼入れ後に低温で加熱 | 粘りを回復する |
| 焼なまし | 加熱後に徐冷 | 軟らかくし内部ひずみを取る |
| 焼ならし | 加熱後に空冷 | 組織を均一に整える |
比重はアルミニウムがおよそ2.7、鋼がおよそ7.9、銅がおよそ8.9、鉛がおよそ11.3。 アルミニウムが軽量化に使われる理由がこの差です。
4. 用語は3つ組で覚える
| まとまり | 中身 |
|---|---|
| 力の三要素 | 大きさ・向き・作用点 |
| 燃焼の三要素 | 可燃物・酸素供給源・点火源 |
| 熱の移動 | 伝導・対流・放射 |
| 荷重 | 静荷重/動荷重(繰返し・交番・衝撃) |
時間で進むのがクリープ(高温で一定荷重でもひずみが増える)、 繰返し回数で進むのが疲れ破壊(引張強さより小さい応力でも壊れる)。 要因が時間か回数かで区別します。
5. 消火器とのつながり
この科目は法令に根拠がありませんが、規格省令の理解に直結します。
- 安全栓の材質にステンレス鋼(SUS304)が指定されているのは、 屋内外に長期間置かれてもさびずに確実に引き抜ける必要があるため
- 蓄圧式の内圧が気温で変わるのはボイル・シャルルの法則。 指示圧力計に許容誤差が定められている背景でもある
- 運搬方式を分ける28kg・35kgは質量の値。重量(力)ではない
この科目を試す
収録している50問から出題します。計算問題は解説で計算の順序まで書いています。
ためしに解いてみる(1/3)・力のモーメント
長さ2mの棒の一端を支点とし、他端に300Nの力を鉛直下向きに加えたとき、支点まわりのモーメントの大きさはいくらか。
よくある質問
- 安全率はどう求めますか?
- 引張強さを許容応力で除して求めます。安全率は必ず1より大きい値になるので、1を下回る答えが出たら計算の向きが逆です。逆にいえば、許容応力は引張強さを安全率で除した値になります。
- 応力とひずみの違いは何ですか?
- 応力は荷重を断面積で除した値で単位はN/mm2、ひずみは変形量をもとの長さで除した値で単位のない無次元量です。比例限度内では両者が比例し、その比が縦弾性係数(ヤング率)になります。
- この科目は法令に根拠がありますか?
- ありません。力学や材料の一般知識です。ただし規格省令の理解には必要で、たとえば安全栓の材質にステンレス鋼が指定されている理由や、蓄圧式の内圧が気温で変わる理由はこの科目の知識で説明できます。
あわせて読む
- 乙6の過去問は14問しかない
公開されている問題を数えると14問。市販の「過去問題集」の正体と、教材の選び方。
- 科目免除は使うべきか
免除された科目は合格判定の母数からも外れる。減るのは取りやすい問題のほう。
- 類は何が違うのか/どれから取るか
類ごとに扱える設備が決まっている。乙種に受験資格は要らず、1つ取ると次が軽くなる。
- 年に何回受けられるのか
法が定めるのは「毎年1回以上」だけ。全国の日程を数えると乙6は年137回。